ポケモンのタイプが意味するもの

ポケモンのタイプ相性は、「水は炎に強い」など、基本的にはそのタイプの物理的な特徴を表すものだが、「エスパーは悪に弱い」といったような相性関係では、タイプの特徴を概念的に捉えているように思われる。このようなタイプについて、それぞれどのような意味を持つのか考察してみた。

 
・格闘タイプ
力強いイメージで、ノーマルに強いのは暴力的な面が表現されているのではないか。また、悪に対して一方的に強く、イッシュ三闘の特性「せいぎのこころ」などからも窺い知れるように、悪を退治する正義を象徴していると考えられる。

エスパータイプ
知性の象徴だと思われる。頭の良いポケモンも多く、発達した脳で念力を操ったりする。格闘に対して一方的に強いのは、力だけでは知性にかなわないという知恵の輪のようなイメージに基づいているのだろう。初代ポケモンにおいてこれが強力だったのは、知性とか思考は重要だというメッセージだったのかもしれない。

・ゴーストタイプ
幽霊だが、エスパーが苦手としていることから、科学的知性に反するイメージで、非科学的なもの、オカルトなんかも象徴していそうだ。幽霊がいないことを科学は証明できず、オカルトが科学よりも強い説得力を持つこともあるだろう。知性に抑圧された欲望の生み出す亡霊とも言えるかもしれない。

・悪タイプ
格闘タイプに弱く、正義に裁かれるような悪い心を持っているものと思われる。技も、嫌がらせするような性能のものが多い。一方で、エスパーやゴーストに強いのも特徴だ。これは、科学的であれ非科学的であれ、そういう思考の前提となる基礎的な価値観を悪の考え方が乗っ取ってしまうことを表しているのではないか。そういうある種の魅力的な哲学を兼ね備えているともいえる。

・ドラゴンタイプ
ドラゴンは現存しない言わば想像上の生き物で、ポケモンの世界では神聖なものとされている。こういう存在が前提とするのは、それを信じる心、信仰心であり、ドラゴンタイプは「何かを信じる心」を象徴しているのではないか。一神教にみられるように、信仰の対象のまえでは皆平等であり、対等にコミュニケーションできるという仕組みが宗教のコアで、これは一貫性が高いというドラゴン技の特徴とも対応している。一方で、別々の信仰同士は相容れない。ドラゴン同士お互い弱点を突いて傷つけあう様は、宗教戦争のようでもある。

・フェアリータイプ
無邪気でかわいらしい見た目のポケモンが多く、ドラゴンや格闘に強いタイプ。信仰や正義を脅かす自由と自然の象徴であり、自由を奪う非自然的な毒や鋼に弱い。関連→フェアリーは悪を殺すのか

・鋼タイプ
頑丈な金属という物理的なイメージが強いが、フェアリーに弱点をつけることから、自由を制約する頑丈なものというイメージでも捉えられる。いくら自由に振舞えるとしても、どういう仕組みや構造の中にいるかよって、行動は制限されたり方向づけられてしまったりする。そういうアーキテクチャの力を象徴しているのではないだろうか。